月別アーカイブ: 2014年11月

寄生獣 PART1

『チェイス!』や『西遊記~はじまりのはじまり~』は、数十億円の制作費が投入されており、超大作がアジアでも作られてるようになってきた。ハリウッドでは100億を超える超・超大作も年に何本も製作される。

そんな中、邦画では超大作と言われる作品でも10億に届くか届かないか、といったところだろう。

『寄生獣』はその中にあって、異例の制作費が投入された。『るろうに剣心』と並び、漫画原作にしてビッグバジェットの力をふんだんに活かした、大人のエンターテイメント作品である。

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フューリー

インターステラー

今や世界を代表するビッグバジェット監督となったクリストファー・ノーランの作品の特徴は、壮大なスケール、ほどよい難解さのストーリー、そして重厚な画面づくり……こういったところだろう。
 重力やブラックホールに関する論文で有名な理論物理学者キップ・ソーンを製作総指揮に向かえた本作は、そんなノーラン監督の持ち味が最大限発揮されている。
 外宇宙探索というSFの王道中の王道でありながら、同時に1人の男の人生を描き、壮大なスケール感とわかりやすいテーマ、SFとヒューマンドラマを見事に両立させた傑作だ。

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西遊記~はじまりのはじまり~

「GOLDEN ASIA」は、アジア諸国で興行収入ナンバーワンになった作品や、映画賞を受賞した作品を日本に紹介するレーベルだ。各国のいちばんおいしい作品だけを味わうことができるのだから、映画ファンにとってありがたいことこの上ない。
 その第一弾に選ばれたのが、2013年、中国でベストセラーとなった本作だ。言わずと知れたチャウ・シンチーの最新作というだけでも話題性は十分だが、その題材を西遊記に取るというのならば、もちろん「ロード・オブ・ザ・リング」並みのスケールの大きなファンタジーを期待してしまうというものだ。
 果たして、「ロード・オブ・ザ・リング」が、叙事詩的に世界を切り取り、壮大なスケールで描き出した作品とすれば、本作は口伝が口伝を重ねて、何人もの語り手たちが勝手に話のスケールを大きくしていった妙味がある。
 つじつま合わせなど誰も気にしていない、とにかく話が面白ければいい。そんな作品を描くのに、シンチーほどの適役はいない。
 日本でのキャッチコピーは「とんでもねー!」のようだが、それどころではない。奇想天外、荒唐無稽、とにかく想像をはるかに超えた作品である。

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紙の月

犯罪をテーマにした映画は、見事な手際やいかに追っ手から逃れるのかというスリルの他に、ついつい期待してしまうものがある。それは、破滅の瞬間だ。

犯罪は人の心を大きく揺さぶる。「清く、正しく、美しく」という言葉があるが、言うまでもなく犯罪は清い行いではない。社会正義に背いた、不正でもある。だが、それらを踏みにじっても、自分のやりたいこと、求めるものに向かって突き進み、やがて破滅していく姿は、一種の美しさを感じずにはいられない。

すべての犯罪がそうだというわけではない。だが、本作で描かれる横領犯には、破滅へ向かう美を感じずにはいられない。
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