月別アーカイブ: 2014年12月

映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!

私たちはいま、妖怪ブームの真っ只中にいる。

ヒット商品は時にブームを巻き起こす。ブームが肥大化すれば、それは「社会現象」と呼ばれることになる。それほどの規模の作品が登場するのは、十年に一度と言ったところか。『妖怪ウォッチ』こそ、十年に一度の作品と呼んで差し支えあるまい。

いまや小学生以下にとって、妖怪は最も重要なカルチャーといっても過言ではない。

本作はそんな『妖怪ウォッチ』の劇場版第一作だ。ゲームが発売されてわずか一年半ほどでの劇場アニメ化は、『ポケットモンスター』以上のペースである。

では、時間がないかなその場しのぎで作られた映画になっているかというと、そうではない。職人芸的な工夫が随所にみられ、ブームの勢いを見事に乗りこなし、一過性のブームを文化として固着させようという、意欲的な内容に仕上がっている。

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ベイマックス

和洋折衷、という言葉がある。

「折衷」というのは、よい部分を選び取って、ひとつの形に仕上げることを指す。

本作「ベイマックス」にはまさにこの言葉がぴったりだ。原作からして、日本のアニメ・漫画の文化をアメコミに取り入れた作品であったのを、さらにディズニーが見事な3Dアニメとして再構築した。

和と洋、2Dと3D、マーベルとディズニー、サンフランシスコと東京。さまざまなものを融合させ、折衷させた、職人芸とすら言って良いだろう、見事なバランス感覚の上に成り立つ、一種の到達点的なアニメ映画だ。

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ホビット 決戦のゆくえ

本作で完結となる『ホビット』は3部作だが、その前作にして後日談の『ロード・オブ・ザ・リング』3部作までを含めれば、なんと6本、18時間にも及ぶとてつもない壮大さの作品だ。

映画史上稀に見る長大なシリーズの完結編である本作は、これまでの5作すべてを総括し、また繋ぐ役割を持っている。トールキンが伝え酔うとしていたテーマに立ち返り、また新しいアイデアを豊富に盛り込んだ大作であり、中つ国の物語を締めくくるにふさわしい完成度である。

20世紀最高のファンタジーと言われる異世界をスクリーンの中に再現するのはあまりに高すぎるハードルだが、ピーター・ジャクソン監督は見事にそれを超えてみせた。

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劇場版アイカツ!

アイドルアニメが隆盛をほこっている。

中でも、現在もっとも巨大なコンテンツと言えるのが、『アイカツ!』だ。数多くの女子児童をアーケード筐体に向かわせ、「アイカツおじさん」などと呼ばれる大人のファンも多数獲得している。

はたして、『アイカツ!』がここまでのヒットコンテンツになったのはなぜか。初の劇場版となる本作では、その答えの一端が示されているように思えた。

それはすなわち、『アイカツ!』は、アイドルのなんたるかにはっきりと向き合っているからに他ならない。

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ゴーン・ガール

重層的なテーマを持つ作品は、観客の心に様々な波紋を生む。

期待通り、予想外、想像以上。いくつもの感情が渦巻き、その作品が真に訴えようとしたものへ向かって思索が深まっていくのを感じるはずだ。

本作、ゴーン・ガールはまさに複雑な深みを持った映画である。タイトルからすでに不穏さがにじみ出している本作は、すでに巨匠デヴィッド・フィンチャーの最高傑作とも呼び声高い。

観客の常識を裏切り、倫理観を揺さぶる。足場ごとぐらつくような緊張感と不安感。その先では、生きていく上で決して避けられないテーマと直面することになる。

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