月別アーカイブ: 2015年1月

ジョーカー・ゲーム

スパイ映画には、映画を観る楽しみが詰まっている……らしい。

アクションシーンはモチロンのこと、丁々発止の会話、企みや陰謀を暴く爽快感、逆にウソを見破られるかも知れないスリル、制限時間がつけばサスペンス、視点を広げれば社会派ドラマ。たしかに、様々な快楽要素を詰め込むことができる優れたジャンルだ。

だが、ジャンルという器に何を盛りつけるかは非常に重要な課題だ。その点、本作は見事に調和を取り、しかも邦画ならではの味付けをしている。

アイデアを凝らして、一杯の中に主菜も副菜も盛りつけたラーメンのような、満足感ある映画である。

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WILD CARD ワイルドカード

主演・ジェイソン・ステイサム、サイモン・ウェスト監督といえば「メカニック」に「エクスペンダブルズ2」と、何度もコンビを組んできた勝手知ったるコンビだろう。

イメージ通りなら、見やすく乗りの軽いからっとしたアクション映画……となりそうだが、本作は一転して渋い雰囲気を漂わせたハードボイルド映画だ。

ジェイソン・ステイサムも40台後半に差し掛かり、均整のとれた肉体美に頼らずに映画を作ることへ挑戦した結果だろうか。意外なほどに落ち着いた雰囲気を味わえる。

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エクソダス:神と王

「エクソダス:神と王」は、あまりにも有名なモーゼの伝説を元にした作品であり、巨匠リドリー・スコットの歴史スペクタクルだ。

映画の背景には様々な歴史、文化、思想があり、それらを踏まえての映像化は相当な難題だ。しかし、それを見事に乗りこなし、伝記として、スペクタクル映画として仕上げてみせている。

壮大な歴史の厚みを背景にしながら、自分に背負わされた運命に苦悩する「人間」モーゼを描くロマンにあふれた一作である。

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ANNIE/アニー

ミュージカルの中のミュージカルと言っても過言ではないだろう題材を、現代版にアレンジ。しかも、「赤毛の少女」というキャラクターが定着しているアニーを黒色人種に置き換えて……という、大胆な挑戦を挑んだ最新版「アニー」。

ウィル・スミス、ジェイ・Zというラッパーふたりがプロデュースを手がけ、音楽面からも最新版にアップデートしているのだろう。さまざまな仕掛けが音楽には仕込まれているのだろうが、筆者は残念ながら現代音楽には詳しくなく、その文脈で語る事はできない。

とはいえ、そんな知識を抜きにしても、前向きなメッセージが胸を打ち、心温まる映画になっている。

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シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア

現代社会に生きるヴァンパイアたち。死者でありながら人間たちから隠れ、ひっそりと身を寄せ合って暮らしている……と、これだけ書くと、ずいぶん深刻そうに思えるが、全編のタッチはコメディだ。

モキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)形式をうまく使って、客観的な視点で吸血鬼をとらえる。異常なものを主観的にとらえればホラー、客観的に見ればコメディ、というのはよく言われることだが、本作はまさにそれを体現している。

下品なギャグも頻出する作品だが、モキュメンタリーを利用してどこか品の良いナンセンスギャグとして成立させている。そうして、吸血鬼たちを「彼らは本当にどこかに生きているのかも」という気分にさせてくれる。(もちろん、吸血鬼だから死んでいるのだが)

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