アイ・フランケンシュタイン

「フランケンシュタインの怪物」といえば、西洋ホラーでは吸血鬼や狼男にならぶ、スーパースターの一角。
とはいえ、バンバン映画のネタになっている二者と比べると、日本での人気はいまひとつという印象が強い。
本作は、そんなフランケンシュタインの怪物を主役に据え、脇役に天使と悪魔を据えたという意欲作。ダークな雰囲気ながらアクション満載の濃密な映画に仕上がっている。

200年前、フランケンシュタイン博士によって生み出された怪物(アーロン・エッカート)が、博士を失い、埋葬しているところからストーリーは始まる。
絶望に暮れる彼に、突如として現れた悪魔が襲いかかる。間一髪、天使の遣わした守護者であるガーゴイルによって救われ、彼はアダムと名付けられた。この世界の裏側では、ガーゴイルと悪魔による戦いが繰り広げられていたのだ。
時は流れ、200年後の現代。悪魔の首領であるナベリアス(ビル・ナイ)は、電気生物学者(すごい肩書きだ)のテラ博士(イヴォンヌ・ストラホフスキー)を通じて、生物を復活させるという、フランケンシュタイン博士と同じ研究を進めていた……。

見所はなんといっても、アダム・フランケンシュタインのアクションシーン。
天使と悪魔の戦いなのに、この二者は光線を放ったり、火を噴いたりはしない。ひたすら格闘戦だ。そして、格闘戦でフランケンシュタインの怪物にかなうわけがない!(断言)
武器はスタイリッシュな剣や、ましてや銃なんかではない。棍棒、しかも二刀流(二棒流?)だ!
悪魔さんたちは最新ゲームの敵みたいに、やられると炎の塊になって爆発する。おかげで、主役自身はただ殴っているだけなのに、画面の派手なこと派手なこと。
味方側のガーゴイルの皆さんも負けじとすばらしい昇天を見せてくれる。二大勢力激突のシーンは圧巻だ。
この映画の8割は、棍棒を振り回したり拳でぶん殴ったりして悪魔を倒すシーンである。ノルマみたいに、アダムがアイデンティティについて悩むシーンもあるが、感傷に浸ってる時間があるなら暴れさせるぜ! とばかりにアクションシーンに移行する。このテンポが気持ちいい。

主演のアーロン・エッカートは、濃いめの顔つきも、実際以上に高身長に見える恵まれた体格もあり、「フランケンシュタインの怪物」の説得力は完璧。
「ダークナイト」のツーフェイス役ではあまり見られなかった激しいアクションをこれでもかと言わんばかりに見せ付けてくれる。

人知れず戦っていると言っておきながら建物をガンガン破壊するなど、内容はかなり無茶苦茶をやっているのだが、ダークな色合いにまとめられた画面づくりのためか、世界観をきっちり守って進行していく。
なにより、「フランケンシュタインの怪物」というスターをきっちり料理しているのがよい。
ふつう、こうした映画は主人公のルーツを語るのに尺をかけてしまうが、皆さんご存じ怪物ですよ、と言った感じで開始1分でとっとと終わらせる。その後はさっそくのアクションシーンをお楽しみ頂けるわけだ。単なる人造人間ではこうはいかない。
とにかく、アクションシーンを楽しむことの邪魔になるような要素を徹底的に排除している。細かいことは、「フランケンですよ」で説明をつけてくれるのだ。この辺はヘンに勘ぐるよりも、監督の意図にのってアクションを楽しむべきだろう。
さすがに超大作というわけではないが、90分という時間をフルに使って、迫力ある画面を楽しむことができる。
150分以上もある大作が続く最近の映画の合間につまむには最適な映画であった。