ミュータント・タートルズ

亀でニンジャ。その上ミュータントでティーンエイジ。

タイトルを聞いただけでぷっと噴き出してしまいそうになるが、テンポの良いギャグと疾走感のあるアクションに乗せられている内に、いつの間にか本気で彼らを応援している。

「ミュータント・タートルズ」の魅力は、そんなところにあると思う。

マイケル・ベイがメガホンを預けたジョナサン・リーベスマンは、そんな彼らの魅力を十分に引き出し、今日向けに見事にアップデートしてみせている。


チャンネル6のリポーターとして街角の情報を扱うエイプリル(ミーガン・フォックス)は、社会派リポーターへの転身を目指して、ちかごろニューヨークの街に姿を現す犯罪集団・フットクランの足取りを追っていた。

あるとき、エイプリルはフットクランと戦う謎の4人組を目撃。しかし誰にもその存在を信じてもらえず、ついには放送局を辞職させられてしまう。

あきらめきれない彼女は、ついに謎の自警団の正体に迫る。彼らは忍術を使うミュータントの亀だった。

ところが、彼らと接触したことでエイプリルは窮地に立たされてしまう。レオナルド(演:ピート・プロゼック、声:ジョニー・ノックスビル)、ラファエロ(アラン・リッチソン)、ミケランジェロ(ノエル・フィッシャー)、ドナテロ(ジェレミー・ハワード)らミュータント・タートルズは、エイプリルを守るために動き出すが……。


一部の世代には根強い人気を持つシリーズ、「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」のリブート作品。

タイトルを聞いただけで「なんだそれ?」と思ってしまう人が大多数だと思うが、その「少し外した」感じ、音楽的に言えば「オフビート」がこのシリーズの魅力といえる。

下水道に暮らし、人間の様々な文化に憧れながら、ひそかに悪と戦う。

大真面目にヒロイックな活躍をするスーパーヒーローでも、正義に悩みながら決断を下すダークヒーローでもない。その場のノリと勢いに任せて前のめりに事件を解決する、若さあふれるヒーローチームだ。


監督は「トランスフォーマー」シリーズのマイケル・ベイ……ではなく、ジョナサン・リーベスマン。代表作は「テキサス・チェーンソー ビギニング」や「世界侵略:ロサンゼルス決戦」など。今回、ベイは製作に回っている。

「20年以上前に大ヒットしたコンテンツをファンの観賞に耐えうるアクション映画としてリブート」というのは、「トランスフォーマー」同様のビジネススタイル。

しかし客層の違いを意識してだろうか、リーベスマンの演出はベイに比べれば悪趣味さや下品さは抑えられ、アップテンポの掛け合いやナンセンスなジョークを重視している。

アクションシーンでもその勢いは変わらず、連続したアクションをテンポよくつなぎ、ここぞというときのスローモーションで3Dの効果を際立たせる。可能なら、ぜひ3Dで観賞してほしい。


シナリオの運びは、ややツッコミどころが見受けられる。ではそれが欠点かというと、そうではない。B級感はむしろ「らしさ」として愛嬌にも感じられる。

タートルズと邂逅するエイプリルに主眼を置き、彼女の成長を物語の軸にしている。

本作におけるタートルズは、ぱっと見の印象は「気持ち悪い」と感じてしまうほど、作り込まれた造形だ。また、言動も上品とは言えない。そんな彼らを観客が受け入れるまでの過程を、エイプリルに重ね合わせることで実現している。

こうすることで、タートルズ自身に話の主軸を置くよりも、彼らを「親しい隣人」として愛されるキャラクターにしているわけだ。

エイプリルを演じるミーガン・フォックスは「トランスフォーマー」でも2作目までヒロインを演じていたが、マイケル・ベイとの悪口合戦でメディアを騒がせた末に降板した。しかし、漫画・アニメ好きを公言する彼女はエイプリル役を熱望しての登板となったようだ。


タートルズと対立するキャラクターもかなりいい。「TMNT」の敵役と言えば、何をおいてもシュレッダーだ。彼を魅力的にできるかどうかで、映画のデキは大きく左右される。

その点、本作でシュレッダーを演じたトオル・マサムネ(名前も格好良すぎる!)の存在感は圧巻の一言。あまり顔は映らないものの、渋い声に渋い佇まい。日本人の目から見てもオリエンタルな魅力がある。

ティーンエイジのタートルズに対して、老境に入りながら権力に取り憑かれた男。父性と悪を兼ね備えたキャラクターである。

残念なのは、シュレッダーとタートルズの師・スプリンターとの間に他シリーズほどの因縁が設定されていないこと。展開上対立するだけで、長きにわたる宿敵、という雰囲気が味わえなかったのは少し残念だ。


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ミュータント・タートルズ」への1件のフィードバック

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