映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪

シリーズ10周年作品「ハピネスチャージプリキュア!」を経て、「Go!プリンセスプリキュア」で次なる十年へフミだそうとしている「プリキュア」シリーズ。

春休み恒例のオールスター映画も、「DX」「NewStage」各3本を経て、7本目にあたる本作が第三ステージ。

プリキュアたちが強力して巨悪に立ち向かう、アクション性が強調されていたこれまでのシリーズから一転、本作ではプリキュアたちが歌って踊るミュージカルとなっている。


それぞれの日々を過ごすプリキュアたち。そこへ、歌とダンスの王国「ハルモニア」から、招待状が届く。春を祝う「春のカーニバル」にプリキュアと妖精たちを招待するというのだ。

プリキュアとして戦い始めたばかりの春野はるか(声:嶋村侑)は喜んで招待を受け、海藤みなみ(声:浅野真澄)、天ノ川きらら(声:山村響)と共にハルモニアへ向かう。

ハルモニアの大臣を名乗るオドレンとウタエン(声:中田敦彦・藤森慎吾/ともにオリエンタルラジオ)は、カーニバルの催しとして、プリキュアたちにステージで歌とダンスを披露して欲しいと告げる。

歌と踊りに自信をもてないはるかは戸惑うが、プリキュアの先輩たちのダンスを見るうちに勇気づけられる。しかし、カーニバルの裏側では陰謀が進行していて……。


「プリキュア」シリーズはエンディングで高クオリティの3DCGによるダンスをいち早く取り入れたことでも有名だ。

今作でミュージカル、特にダンスをフィーチャーしたのは、「アイカツ!」「プリパラ」に代表される競合作品の影響もあるだろうが、他方いままでに培ってきた3DCGのリソースを活用するという目的もあっただろう。

アニメ本編ではプリキュアが悪と戦う展開が主軸だが、いっぽうでアーケード筐体および家庭用ゲーム機での展開はミニゲーム集やダンスゲームがリリースされてきた。こうした、アニメとゲームの展開をブリッジするのも本作のねらいのひとつだろう。


見どころとなるダンスシーンはミュージッククリップ風にまとめられている。高クオリティのCGダンスは見応え抜群。「フレッシュプリキュア!」の「You make me happy!」や「スイートプリキュア♪」の「ワンダフル↑パワフル↑ミュージック!!」などは、本来のEDでは見られなかった追加メンバーまで全員そろい踏みでのダンスが見られる。

また、曲の中で各シリーズの後日談や日常風景を描いたイメージ映像が挿入される。こちらも各シリーズのファンへのサービス満点だ。

とはいえ、サービスの濃度がシリーズごとにばらつきがある点は気になる。特に「ハピネスチャージプリキュア!」は、本編のどこのシーンなのかがはっきりしない、本当に単なるイメージ映像になってしまっている。ここは素直に残念だ。


客演であるオリエンタルラジオが演じるオドレン・ウタエンが司会者に扮し、「ザ・ベストテン」をパロディした形式で各プリキュアを紹介し、歌と踊りを披露する。合間には、各チームとの軽妙なやりとりも披露される。

オリエンタルラジオのふたりはなかなかの好演ぶりで、オリジナル楽曲の「オドレン・ウタエン盗賊伝」もキッズ映画らしい雰囲気に花を添えている。


後半では一転して本来のプリキュアの持ち味であるアクションが発揮される。チームを越えたクロスオーバーな会話も楽しめる。

地下室を探す中でプリキュアたちがとる行動も個性豊かだ。「プリンセスプリキュア!」のメンバーのうち、みなみは知識欲、きららはおしゃれへのこだわりが強いらしいという一面も見える。オールスターズは新シリーズの本編よりも先に脚本を作るため、キャラクター設定が固まる前の荒削りなキャラクター描写が見られるのも魅力のひとつである。

全体を通してはるかがプリキュアのなんたるかを学び、歌とダンスを受け入れる、という構造になっているのも見やすさに貢献している。

プリキュアオールスターズの第三ステージ、本作の反響によっては今後もミュージカル形式が続行となるようだ。企画としてはまだまだ広げる余地がありそうに思えるので、今後の展開が楽しみである。


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