バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生

アメリカンコミックの二大巨頭として、マーベル社と並び称される老舗・DCコミックス。

その看板キャラクターといえば、世界最初にして最強のスーパーヒーロー・スーパーマン、そして世界最初のクライムファイター・バットマン。本作はその二人が映画作品で初の共演を果たす、2016年最大のイベント映画である。

贅沢に時間をかけて描かれるふたりの対比と、今後さらに広がっていく壮大な世界観を堪能できる、超々大作である。

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クリプトン星からの侵略者・ゾッド将軍から地球を守ったスーパーマンことクラーク・ケント(ヘンリー・カヴィル)。しかし、人間のスケールををはるかに超えた超人同士の戦いは、地球の環境に、そして社会に深い爪痕を残していた。

ゴッサムシティの夜の番人・バットマンとして犯罪と戦う経営者、ブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は、そんなスーパーマンを脅威に感じていた。一方、クラークもまた、法に縛られずに断罪を行うバットマンを新聞記者として追う。

その頃、ウェイン社と並ぶ大企業・レックスコープの社長、レックス・ルーサー(ジェシー・アイゼンバーグ)は議会と密約を交わし、ある陰謀を実行しようとしていた。ルーサーの陰謀をめぐり、やがてスーパーマンとブルースは決定的に対立することになる。


冒頭に描かれる要素はふたつ。ひとつは、前作にあたる「マン・オブ・スティール」のクライマックスを、バットマン=ブルースの視点から見たものだ。これによって、いかに人間から見たスーパーマンが恐ろしい存在であるかが、観客にも否応なく突きつけられる。

もうひとつは、そのバットマンの幼少時のエピソード。いかにして彼が孤独な断罪人・バットマンになったかというオリジンである。何度も映像化されてきたキャラクターであるがゆえに、少々見飽きたシーンではあるのだが、これが後々に非常に重要な意味を持ってくるのには驚かされた。

なお、このときウェイン一家が観ていた映画は、「エクスカリバー」(1981/ジョン・ブアマン)。聖剣エクスカリバーは、クライマックスにおいて非常に重大な役割を果たす槍を暗示している。あるいは、闇の騎士であるバットマンに対して、騎士の中の騎士アーサー王を描いてみせる皮肉だろうか。また、「ゾロ」(1981/ピーター・メダック)のポスターも見られる。こちらは、直接的にバットマンに影響を与えたと言われる「怪傑ゾロ」がブルースに影響を与えていたという暗示だろう。


序盤はブルースとクラーク、二人の男が互いの正体を知らぬままに接近していく過程がスリリングに描かれていく。ルーサーが開いたパーティ会場では、ガル・ガドット演じる謎の女性ダイアナ(といっても、コミックファンにはバレバレなわけだが)も登場し、主要キャストによるアンサンブルが堪能できる。

このパーティを描いた一連のシーンは、前半の白眉とも言えるゴージャスな画面づくりがされている。暗い画面が多い本作の中で、役者たちの見事な演技が楽しめるシーンである。バットマンとスーパーマン、二人の正義のとらえ方が端的に表現され、そこに現れるルーサーの不吉さと、ダイアナの存在感もいい。

正直に言って、全体的に大きな事件が少なく、観客が楽しめるシーンが少ない前半において、数少ない「見どころ」といえるシーンだ。

こうして、じっくりと時間をかけてそれぞれのキャラクターが描写され、後半へ向けて徐々に盛り上げられていく。


それと並行して描かれるのは、今後何本もの劇場作品を通じて描かれていく、壮大なDCユニバースの世界観だ。時間的・空間的にとんでもないスケールになっていくのがアメリカンコミックの一種の特徴だが、それを余すところなく映像作品に置き換えてみせる気概が画面の端々から溢れている。

たとえば、本作では二人のヒーローが幻視する夢を通じて、過去や未来の様々な風景が描かれる。様々な原作エピソードから選りすぐられた要素を取りだしてアメコミファンをニヤリとさせつつも、この作品のストーリー内に収まり切らない、巨大なナニカが背景にあることを観客に伝えてくれる。

また、今後のDCユニバース作品で描かれるヒーローたちの片鱗も描かれ、今後の展開を予想させるには十分だ。

ただ、この部分に時間をかけすぎのきらいがある気もする。監督のザック・スナイダーがアメコミの熱狂的なファンであることはよく知られているが、そのせいか少々、「アメコミファンをニヤリとさせたい」というのが前に出すぎているように感じる。また、「夢」はプロデューサーのクリストファー・ノーランにとって重要なテーマだろうが、「バットマンが見た夢についてフラッシュがメッセージを伝える、という夢」は、少々やりすぎだ。フラッシュら本作の本筋に関係のないキャラクターたちについてのシーンを省けば、10分は上映時間が短縮できたのではないか。


ルーサーが仕掛けたある驚きの展開から先は、怒濤のアクションが展開する。ここまで触れてこなかったが、前半で緊張感を保つことができたのは、ルーサーと、スクート・マクネイリー演じるウォレス・キーフの存在によるものが大きい。本作の功労賞は、間違いなくマクネイリーだろう。

よく「バーサス」とタイトルにつく作品は実際には戦わないものだ、と言われるが、なんと本作では実際にバットマンとスーパーマンが激しい格闘戦を繰り広げる。それがどんなシチュエーションで、どんな展開を見せるのかは実際に見て確かめて欲しいが、この二人の戦力の差、そして正義のあり方の差がアクションを通じて描かれる、非常に見応えのある描き方になっている。

また、それぞれのヒーローの個性を際立たせたアクションも素晴らしい。スーパーマンは前半から何度も人助けをするシーンが描かれ、「マン・オブ・スティール」よりもさらに自覚的に自らの超能力を使いこなすクラークの姿は、まさに神がかった存在感に思える。一方のバットマンは、生身の重たさ、硬さ、痛さなどをはっきりと伝えるような演出がされている。バットマンが悪党を相手に戦うシーンは、コミックだけでなく「アーカム・アサイラム」から続くゲームの要素を取り込んだ、非常にスピーディ、かつ多彩な見せ方がされている。

そして鑑賞後はこの二人以上に印象に残っているに違いない、ワンダーウーマンの凄まじいアクションぶり。ガル・ガドットの超人的なスタイルと、ど派手なエフェクトはスーパーマン以上に観客の心を魅了する、見事なデビューだ。登場した瞬間のヒロイックすぎるほどのBGMに心を奪われた人も多いのではないだろうか。


クライマックスでは、マン・オブ・スティール以上の脅威が現れ、メトロポリスとゴッサムシティ、ふたつの街の間での戦いが繰り広げられる。もはや悪党というよりは怪獣と呼ぶべき存在相手に、ヒーローたちがいかにして立ち向かうのか。前半100分をかけて積み上げられてきたエピソードが、終盤の50分に爆発するような勢いで昇華されていくカタルシスこそ、本作最大の見せ場だ。

筆者としては、今作においてはじめて、「まさにスーパーマン!」と呼ぶべき決断とアクションを見ることができ、その瞬間の昂ぶりはすさまじいものだった。その瞬間を目撃するためにも、ぜひ劇場で観て欲しい。

本作では、どうもバットマンのキャラクターに引きずられたせいか、監督の方向性によるものか、少々間延びした、タイトルのわりに賑やかさが少なく陰鬱な雰囲気になってしまったように思える。次回作「スーサイド・スクワッド」は、ある本作とは真逆の、本来なら悪役とされてきたキャラクターたちによる作品なので、DCユニバースを大きく変革する1本になることを期待している。

なお、視聴環境としてはIMAXか、あるいは2Dがオススメだ。日本人の目では暗く感じる場面が多く、特にアクションシーンは、通常3Dの輝度の低い画面ではわかりにくいかも知れない。

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バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」への14件のフィードバック

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