タグ別アーカイブ: スリル

ジョーカー・ゲーム

スパイ映画には、映画を観る楽しみが詰まっている……らしい。

アクションシーンはモチロンのこと、丁々発止の会話、企みや陰謀を暴く爽快感、逆にウソを見破られるかも知れないスリル、制限時間がつけばサスペンス、視点を広げれば社会派ドラマ。たしかに、様々な快楽要素を詰め込むことができる優れたジャンルだ。

だが、ジャンルという器に何を盛りつけるかは非常に重要な課題だ。その点、本作は見事に調和を取り、しかも邦画ならではの味付けをしている。

アイデアを凝らして、一杯の中に主菜も副菜も盛りつけたラーメンのような、満足感ある映画である。

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紙の月

犯罪をテーマにした映画は、見事な手際やいかに追っ手から逃れるのかというスリルの他に、ついつい期待してしまうものがある。それは、破滅の瞬間だ。

犯罪は人の心を大きく揺さぶる。「清く、正しく、美しく」という言葉があるが、言うまでもなく犯罪は清い行いではない。社会正義に背いた、不正でもある。だが、それらを踏みにじっても、自分のやりたいこと、求めるものに向かって突き進み、やがて破滅していく姿は、一種の美しさを感じずにはいられない。

すべての犯罪がそうだというわけではない。だが、本作で描かれる横領犯には、破滅へ向かう美を感じずにはいられない。
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