タグ別アーカイブ: 深い

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

アラン・チューリングは、現代のコンピュータの基礎を作った人物だ。人工知能を審査する「チューリング・テスト」に名前が残っているが、その功績はあまりに過小評価されてきた。

本編で明かされるとある事情により、彼はその生涯を不名誉な形で閉じている。そのうえ、戦後20年以上もの間、彼が行ってきた活動は国家機密となっていた。しかし2012年、英国貴族院によりチューリングへの恩赦が行われ、彼の名誉と功績がたたえられた。

かくして、悲劇の天才数学者は歴史の脚光を浴び、その活動が広く知られることになる。そして本作において、理想的な形で映像化されたわけだ。

内容はまさに暗号を解くゲームのようだ。さまざまな謎が観客には与えられ、それがひとつひとつ、丁寧に解かれていく。すべてが解き明かされるとき、観客はまさにエニグマを解読したチューリングの喜びに共感し、そして彼が迎えた結末に涙するのだ。

続きを読む

フォックスキャッチャー

他人が罪を犯した時、その理由の全てを理解することは、決してできない。

どんなに綿密に調査をしても、それは同じだ。本作は実際に起きた事件を下敷きにしているが、なぜその行動をしたのかを、完全に解明しようとはしていない。

その代わり、シーンの全てからにじむ不穏さや、役者の所作のひとつひとつが、その結末に向けて時に加速し,時に停滞しながら進んでいく。

あなたがまだこの映画をまだ観ていないなら、事件のことを調べる前に本作をみて欲しい。史実者としては異端だが、ネタバレ厳禁だ。

続きを読む

ゴーン・ガール

重層的なテーマを持つ作品は、観客の心に様々な波紋を生む。

期待通り、予想外、想像以上。いくつもの感情が渦巻き、その作品が真に訴えようとしたものへ向かって思索が深まっていくのを感じるはずだ。

本作、ゴーン・ガールはまさに複雑な深みを持った映画である。タイトルからすでに不穏さがにじみ出している本作は、すでに巨匠デヴィッド・フィンチャーの最高傑作とも呼び声高い。

観客の常識を裏切り、倫理観を揺さぶる。足場ごとぐらつくような緊張感と不安感。その先では、生きていく上で決して避けられないテーマと直面することになる。

続きを読む

寄生獣 PART1

『チェイス!』や『西遊記~はじまりのはじまり~』は、数十億円の制作費が投入されており、超大作がアジアでも作られてるようになってきた。ハリウッドでは100億を超える超・超大作も年に何本も製作される。

そんな中、邦画では超大作と言われる作品でも10億に届くか届かないか、といったところだろう。

『寄生獣』はその中にあって、異例の制作費が投入された。『るろうに剣心』と並び、漫画原作にしてビッグバジェットの力をふんだんに活かした、大人のエンターテイメント作品である。

続きを読む

猿の惑星:新世紀(ライジング)

「猿の惑星:新世紀」の評判がいいことを聞いてはいたのだが、リブート前の旧シリーズも見ていないし、ましてや前作「創世記」すら観ていない。

だが、あまりにすばらしいという話に耐えきれず、前作も観ていないのに、平日の夜にいきなり劇場に足を運ぶことにした。

結果としては、なぜこんな傑作、いや大傑作を、もっと早く観なかったのか、後悔しきりである。

続きを読む